バイモーダルという言葉がある。日本においては、おそらく超マイナーキーワードだと思う。バイリンガルに似ているが違う。どちらも、2つの言語を扱える人達を指すが、バイモーダルは音声言語と手話言語を使える人達を指す。音声言語と手話言語といっても、日本手話と日本語のバイリンガルとも異なる。
一般的な日本手話と日本語のバイリンガル教育は、日本手話と日本語の読み書き(一般的に聞く話すは対象としない)ができる状態を目指す。それに対してバイモーダルは日本手話と日本語(読み書き、聞く話す)ができる状態を目指す。
2つの言語様式(モード)を扱えるから、バイモーダル、ということなのだろう。
手話を取り入れた教育が進んでいる北欧やアメリカなどの国でそれなりに聞く概念のようだが、日本ではそれほど浸透していない。
日本では手話の重要性があまり認識されていないからだろうか。
そういえば最近、数少ない日本手話の教室のうちの1つが今年いっぱいで終了になる、という話を聞いた。某有名企業が運営している日本手話の教室だ。誰が判断したのかわからないが、ずいぶんと視野の狭い判断をしたものだ、と悲しくなる。(この手話教室は別の経営母体が引き継ぎ、継続することになるようだ。素晴らしい!)
やはり、日本では手話の重要性があまり認識されていないからなのだろうか。
重い難聴の場合、音声言語を扱えるようになるためには、補聴器(補聴器だけでカバーできるケースがどの程度あるかはわからないが)や人工内耳を装用して、聴覚口話のトレーニングを行う必要がある。その上で、手話を扱えるようになる、ということである。ここでいう手話は、日本では日本手話になる。
これって、かなり凄いことだと思う。バイリンガルでさえ相当難しい(環境の要素も多分にあるが)のに、バイモーダルの場合は、ハンディキャップを克服した上で、言語を2つ扱えるようになるのである。相当な努力が必要なのだと思う。
でも、どう努力すればいいのだろう?
親としてどうサポートしたらいいのだろう?
情報がなさすぎてさっぱりわからない、というのが率直な感想だ。
まず、バイモーダルの人が圧倒的に少ない。僕が知らないだけなのかもしれないが…情報が入ってこない。
また、サイト上でバイモーダルの情報を集めても、日本ではどう教育すべきか、というところまで踏み込んだ情報を見つけることができない。
日本語の実務的な情報はほぼない。僕自身、アメリカのギャローデット大学のレポートを参考に断片的な情報を得ているだけだ。
もう少し、具体的な解決方法を知りたいのだが…
そもそも、日本では日本手話を学べる環境が少なすぎる。そんな環境では、日本手話をベースとしたバイモーダルの情報がほとんどないのも頷けてしまう。
仕方がないのだろうか?
いや、仕方がないで済むわけがないのだが…
この分野って、日本に専門家はいないのだろうか??