はじめに

東京在住の先天性難聴児の父親です。

新生児聴覚スクリーニングでリファーの判定を受けたとき、何がなんだかわからなくて呆然としました。どういう障害なのか、どの程度深刻なのか、何をいつまでにすれば良いのか、どこに行って誰に何を相談すれば良いのか、保育園には行けるのか、学校はどうなるのか、共働きはできなくなるのか…等々、何もかもがわかりませんでした。

いろんな専門家や難聴児の親の話を聞き、専門書を読み、ネットでブログや論文を読みあさるうちに、少しずつわかってきました。

そもそも、先天性難聴については、医療、療育、教育、言語、福祉等、関係する専門領域が多岐にわたるので、個別の専門情報は得ることができますが、専門領域に横串を刺したようなまとまった情報、素人にも全体像がわかるような情報がほとんどありません。

親としては、先天性難聴児をとりまく環境全体を把握し、自分の子供はどの位置におり、療育、教育方針としてはどのような選択肢があって云々、といった全体像をしっかりと理解しておきたい。その上で、今後の方針を専門家に相談しながら進めていきたい、と思っているのではないでしょうか。少なくとも、僕はそう思っていました。

新生児聴覚スクリーニングの普及によって、早期に難聴のリスクに気付き、早期に療育を開始することができる環境が整いつつあります。これはとても素晴らしいことだと思います。ただ、一方で親の立場からすると、わからないことだらけの子育ての入り口に立つと同時に、我が子の耳が聞こえないかもしれない、という大きな不安を抱えることになります。

生まれたばかりの赤ちゃんに対して必要なことは、愛情のこもった親子のコミュニケーションです。当たり前です。でも、この当たり前のコミュニケーションが最も必要な時期に、親は子供の耳が聞こえないかもしれない(または、子供の耳が聞こえない)という不安に襲われ、更に、何をどうすれば良いのかさっぱりわからず不安が助長されます。これでは、当たり前のコミュニケーションをとる前に親が壊れてしまいます。

早期にスクリーニングをするのであれば、早期に先天性難聴児を取り巻く環境の全体像がわかるような情報を、特に親に向けて提供する必要があるのではないか、という思いが、このサイトを開設したきっかけです

なお、この情報は専門家ではない先天性難聴児の父親が自らの体験をもとに調べて、まとめたものです。大切な子供に関することなので、素人ではありますが、一生懸命調べています。しかし、専門家や関係する有識者の方々から見ると正確性に多少問題があったり、見解に相違のある記述があるかもしれません。正確性については、ご指摘いただけますと大変有り難いです。見解の相違については、偏りのない情報を提供したいという趣旨からまとめていますので、ご了承いただけますと有り難いです。

※このサイトでは、便宜上、ろう及び難聴を併せて「難聴」という用語で使用しています。ご了承下さい。