新生児聴覚スクリーニングを受けたのに…

新生児聴覚スクリーニングでOAE検査を受けてパスした子供が実は難聴であり、それが小学校5年生になってようやく判明した、という記事を読んだ。新生児聴覚スクリーニングにOAE検査と自動ABR検査という2つの種類があるのは知っていたが、OAE検査だと判明できない難聴がある、というのは初めて知った。

https://www.nishinippon.co.jp/nnp/anatoku/article/460964/

1996年に発見された新しい難聴とのことだが、そもそも新生児聴覚スクリーニングを導入しようという動きが始まったのが2000年より後なのだから、十分に新しい難聴について考慮することができたはずなのに…と思ってしまう。

通常は、子供が生まれて、何となく新生児聴覚スクリーニングを受けて、何となくパスでした、というケースが多いと思う。一旦パスしたのに、これはOAE検査だから、自動ABR検査もお願いします、なんていう親がいるはずがない。難聴児の親である僕ですら、そこまで気がまわらないと思う。

新生児聴覚スクリーニングについては、まだまだ問題がとても多いと思う。そもそも医者が難聴児の療育についての知識を持ち合わせていないケースが多いので、適切なアドバイスを親にできていない。医者の専門領域とは違う、といえばそれまでだが、大半の医者は聴覚口話法の流れでのアドバイスしかできない。補聴器を装用すれば聞こえるようになる可能性があります、人工内耳の手術をすれば聞こえるようになる可能性があります、といった感じだ。

これはこれで、確かにそうだ。
(人工内耳については手術だけで聞こえるようにはならないが。)

でも、これは難聴児の療育の大きく2つある選択肢の1つだけであり、もう1つの手話での療育という観点が完全に抜けている。

難聴の重さにもよるが、難聴児にとって手話はものすごく大事だと思う。親にとっても大事だと思う。

難聴がある程度重い赤ちゃんは、早期に手話を体験しながら、補聴器や人工内耳といった選択肢を探っていくのが良いと個人的には思っている。

ということで、やはり改善すべきは、

①医者またはその他の専門家が、新生児聴覚スクリーニングでリファーとなった赤ちゃんの親に対して、手話の重要性等を伝える。
赤ちゃんが手話を体験できる環境を増やす。

ということだと思う。

これらは聴覚口話法と矛盾するものでは全くない。子供のために必要なことだと思う。