手話による言語発達

一般的に聞こえる赤ちゃんの場合、聴者の親と生活していれば、日本語のシャワーを浴びながら生活することになるのが通常なので、赤ちゃんは自然と「ママ」や「パパ」といった音声言語を覚え、話せるようになる。子育ての中で、我が子の言語発達を確認することは、親としてとても嬉しい瞬間だと思う。

このような、赤ちゃんが自然と言語を覚えていくプロセスは、日本語に限ったものではない。言語であれば、日本語のような音声言語に限られず、日本手話についても当てはまるようだ。

赤ちゃんが日本手話の環境にいると、日本手話のシャワーを目から浴びることになるので、遊びながら自然と手話表現を覚えていく。赤ちゃんは、まだ手や指を大人のように器用には動かせないので、手話によっては大人の使う手話とは異なるが、赤ちゃんなりの手話が出てくる。それがまた可愛い。このように、自然と言語を覚え、表現していくプロセスは聞こえる赤ちゃんと同じだ。

一般的に、言葉を発するために必要な口や舌などの筋肉の発達よりも、手話を使うために必要な手や指の筋肉の発達の方が早いので、日本語を話すよりも、手話を表現する方が早いようだ。最近流行っているらしいベビーサインも、体の発達上、手や指を使った表現の方が早く出てくるので、早期に親子でコミュニケーションをとることができる、というのがポイントのようだ。ちなみに、ベビーサインは、アメリカの手話、日本の手話、ジェスチャー等の中から、赤ちゃんが表現しやすいサインを組み合わせたもので、講師や親によってサインがアレンジされうるものらしい。だから、手話とは別ものだ。

また、日本手話の環境にいる赤ちゃんは、手話表現だけでなく、表情等の顔の動きを使っていろんな表現ができるようになる。顔の動きで表現するというのは、日本手話特有のものなのだろうが、このような聴者にはなかなか難しい表現も赤ちゃんはできるようになる。

日本手話の環境で赤ちゃんを育むことができれば、音声言語が聞こえなくても、赤ちゃんの日本手話による言語発達を確認することができるようだ。