先天性難聴の原因

子供が先天性の難聴であるとわかった当初は、難聴の原因について全く興味がなかった。難聴とはどういう状態なのか、何をすれば良いのか、何ができるのか等、突然真っ暗になった目の前の状況に、少しずつ色を足していく作業で精一杯だった。原因なんかわかっても、子供の耳が良くなるわけでもないし、という気持ちが強かった。

ようやく視界がマシになってきた今日この頃、難聴の原因には色々ある、とか、難聴の原因によっては今後の対応に有用である、とか、検査は意外と簡単、とか色々な情報が頭に入ってくるようになった。

先天性難聴の原因には色々とあるらしい。大別すると、少なくとも50%は遺伝子が原因、それ以外の50%は遺伝子以外が原因のようだ。遺伝子以外とは、良く聞く(と思う)サイトメガロウィルスであるとか、妊娠中の風疹、未熟児、黄疸等々、様々だ。原因不明のケースもあるらしく、これも後者の50%に入る。

遺伝子が原因の場合もいくつかに分類することができる。遺伝性の約30%が難聴以外の症状を伴う症候群性難聴、約70%が難聴以外の症状を伴わない非症候群性難聴のようだ。この非症候群性難聴のうち、80%弱が劣性遺伝によるもの、20%弱が優性遺伝によるもの、それ以外がX連鎖遺伝やミトコンドリア遺伝によるものだという。

優性遺伝、劣性遺伝は大昔、生物の授業で勉強したことがあるので、なんとなくわかる。学生の頃の勉強は意外と大人になってから役に立つものだ。

一方の親が難聴の優性遺伝子をもつ場合は、他方の親に難聴の遺伝子がなくても、子供は50%の確率で難聴になる。

また、一方の親が難聴の劣性遺伝子をもつ場合で、かつ他方の親も難聴の劣性遺伝子をもつ場合は、子供は25%の確率で難聴になる。

難聴の劣性遺伝子をもつ人は意外に多く、50人に1人はもっているらしい。(学校の1クラスだと通常50人もいないと思うが、わかりやすさのため)学校の1クラスに1人いるかいないか、というイメージが近いと思う。結構多い。

障害の遺伝については、非常にセンシティブなものであり、知らないほうがいい、というのも1つの価値観だと思う。一方、子供の障害についてより深く理解する、今後の療育方針に役立てる、といった有用な面もあるので、知っておいたほういい、というのも1つの価値観だろう。

人それぞれだ。