人工内耳について

人工内耳も補聴器と同様に聞こえを良くするものだが、補聴器と決定的に異なるのが、手術が必要ということだ。人工内耳はいくつかのパーツによって成り立つものだが、そのうちの一部(内部アンテナと電極)を頭に埋め込む必要があり、手術や術後のケアが必須となる。

手術を要するものであるため、誰もが望めば使用できるというわけではなく、小児人工内耳適応基準(2014)というものがある。一部ではあるが、いくつか基準を抜粋すると以下のようになる。

・適応年齢は原則1歳以上(体重8kg以上)
・裸耳での聴力検査で平均聴力レベルが90dB以上
・上記の条件が確認できない場合、6ヶ月以上の最適な補聴器装用を行った上で、装用下の平均聴力レベルが45dBよりも改善しない場合

一部を抜粋して引用:一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会

他にも基準はたくさんあるが、一般的には裸耳での聴力が90dB以上の場合は、人工内耳という選択肢が現実的に出てくる(医者からも案内される)というイメージだろうか。

ちなみに、裸耳(らじ)というのは聞き慣れないかもしれないが、裸眼と同様、補聴器等を装用しない、自然な耳の状態を指す。最初は多少違和感のあった言葉だが、今では僕も普通に使っている。

人工内耳は非常に高い効果が出る例も多く、特に補聴器装用だけではカバーできないような重い難聴者にとって、画期的なものだと言われている。

効果は高いが、手術が必要という点で、重い難聴児の親が直面するであろう、極めて判断が難しい選択肢の1つだと思う。