補聴器について

自分の子供が補聴器を装用するようになるまで、補聴器を実際に見たことがなかった。音を大きくする電気製品という一般的なこと以外、全く知らなかった。

精密検査で実質的な確定診断を受けた場合は、その後、速やかに補聴器装用の手続きへと進んでいく。

補聴器を装用する場合、まずは、赤ちゃんの耳のサイズに合わせたイヤモールドを作る。オーダーメイドの耳の鋳型だ。暴れる赤ちゃんと格闘しながら、赤ちゃんの耳の穴に固めのスライム(表現が悪いが…)のようなものを入れて型をとる。ただし、赤ちゃんは成長が著しいので、すぐに耳のサイズとモールドのサイズが合わなくなる。1ヶ月も待たずに型を取り直すこともあった。耳がモールドに合わないと、ハウリングと言って、耳からピーピーと音が漏れる。

赤ちゃん用のモールドを作った後は、赤ちゃんに補聴器を長時間着けることに慣れてもらう必要があるが、これがまた大変だ。補聴器を着けようとすると、その気配を察知して、手で耳をおさえたり、号泣したりして、こちらの行動を阻む。着けるのにひと苦労だ。苦労して着けても、慣れてくると、子供はあざやかな手さばきで着けた瞬間に補聴器を外してしまう。

これを根気よく続けることで、子供は補聴器を長時間着けてくれるようになるという。補聴器を長時間着けてくれるようになって初めて、補聴器の効果が出てくる。

ただ、補聴器の効果についても、個人差があるようだ。

難聴の度合いが比較的軽い子供は、補聴器装用だけで必要な音を十分に聞くことができるようになる可能性がある。そのため、特に効果がある子供に対しては、根気よく補聴器装用を習慣化させるメリットが大きい。

一方で、難聴の度合いが重い子供については少し状況が異なるようだ。補聴器装用だけでは必要な音を十分に聞くことができない場合が多い。この場合、言語発達のためには、補聴器だけで十分なのだろうか?個人的に悩んでいる部分でもあり、答えがまだ良くわからない…別の手段も併せて検討する必要があるのであれば、耳を使う方法であれば人工内耳となり、目を使う方法であれば手話となるのだろう。