保育園入園のためにやったこと

悩んだ末、我が家は子供の保育園入園を決めた。でも、いきなり保育園に入園して、この子は耳が聞こえませんがよろしくお願いします、では親としてどうだろう? 先天性難聴のことや、どうやって接すれば良いのか、どういう言語でコミュニケーションをとっているのかなど、親ができる限りのことを伝えた方が、受け入れる先生方も予測がしやすく、それがひいては子供のためになると思った。だから、入園前後に結構いろんなことをやった。

<入園前>

まず受け入れ可能なのか、念のため区役所に確認した。制度上は難聴であることで入園が拒まれることはないが、実務上どうなのか? また区に対してどこまでお願いができるのか等、情報収集と、区にこういう住民がいますよ、来年保育園ですよ、というアピールを兼ねて相談をした。予想外に対応が良く、細かいところまで聞いてくれ、より実務に精通している職員の紹介もしてくれた。区としては受け入れに問題はなく、できる限り対応してくれる、とのことだった(この時点では、できる限り何をしてくれるのかはわからなかった)。ただ、同区には現時点で保育園に入園している難聴の子供がおらず、これまでの実例もそれほどないようで、手探りの印象はあった。

また、難聴に対して理解を示してくれそうな区議会議員に直接アプローチをして、話を聞いてもらった。手話講習に通っている区議会議員だったので、難聴に対する理解もあり、話しやすかった。とても親身に聞いてもらった。その区議会議員から区に対して色々と相談等をしてもらった。ありがたい。

もちろん、保育園にも事前に情報は伝えていた。上の子が既に通っている保育園だったので、コミュニケーションも取りやすく、少しずつ周りの友達の親や保育士さんに認識してもらった。

入園後、保育士さんに色々とお願いすることになるので、必要な情報をまとめた資料を3種類作った。

1つ目は、先天性難聴について知ってもらうための資料で3枚程度の分量になった。内容は、先天性難聴、補聴器、手話、人工内耳、子供の状況、接し方等について簡単にまとめたものだ。

2つ目は、補聴器についての資料でこちらも3枚程度の分量になった。実際の補聴器の写真や子供が装用している状態の写真を使いながら、装用の仕方等をまとめた。

3つ目は、子供に対して実際に使っている手話をいくつかピックアップして、手話の絵と使う場面の説明等を加えた資料だ。実際に使っている手話の中から、保育園で必要になるであろう手話に限定してピックアップしたのだが、結果的には13ページ、111単語というなかなかのボリュームの資料になってしまった…盛り込みすぎて、保育士さんには申し訳ないような気もするが、実際の使い方やケースごとに関連する単語を配置しているので、それなりに分かりやすい資料になったのではとは思っている。

<入園後>

無事入園が決まった後は、園長先生と担任の先生に時間をもらい、作成した資料をもとに説明させてもらった。非常に協力的だったのでありがたかった。担任の先生も、前から馴染みのある先生や異動されてきた手話のできる先生だった。

同じクラスのお母さん達にも難聴の事を少しづつ伝えていった。我が子との挨拶に手話を使ってくれるお母さんもいたりして、非常にありがたい。

入園後のことは、まだまだこれからで、今後も色々と試行錯誤をしながら、周りの方々の協力を仰いでくことになるのだと思う。

総じて感じたことは、頑張って動いていればわかってくれる、協力してくれる人達が結構たくさんいることだ。

まだまだまだまだ、親がやることはたくさんある。でも、親が全部抱え込んで、何から何までしないといけない! というある種の脅迫観念から、多少は解放されたような気がする。