ろう学校の科目にある自立活動とは?

ろう学校小学部の時間割を眺めてみる。国語、算数、理科、社会、音楽、体育、自立活動…自立活動?見慣れない科目だが、これは一体何だろう?

自立活動とは、「特別支援学校小学部・中学部学習指導要領第7章」に規定されている(高等部の学習指導要領にも同様の規定が別途ある)。
全文を記載すると以下のようになる。

1. 健康の保持
(1) 生活のリズムや生活習慣の形成に関すること。
(2) 病気の状態の理解と生活管理に関すること。
(3) 身体各部の状態の理解と養護に関すること。
(4) 健康状態の維持・改善に関すること。

2. 心理的な安定
(1) 情緒の安定に関すること。
(2) 状況の理解と変化への対応に関すること。
(3) 障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服する意欲に関すること。

3. 人間関係の形成
(1) 他者とのかかわりの基礎に関すること。
(2) 他者の意図や感情の理解に関すること。
(3) 自己の理解と行動の調整に関すること。
(4) 集団への参加の基礎に関すること。

4. 環境の把握
(1) 保有する感覚の活用に関すること。
(2) 感覚や認知の特性への対応に関すること。
(3) 感覚の補助及び代行手段の活用に関すること。
(4) 感覚を総合的に活用した周囲の状況の把握に関すること。
(5) 認知や行動の手掛かりとなる概念の形成に関すること。

5. 身体の動き
(1) 姿勢と運動・動作の基本的技能に関すること。
(2) 姿勢保持と運動・動作の補助的手段の活用に関すること。
(3) 日常生活に必要な基本動作に関すること。
(4) 身体の移動能力に関すること。
(5) 作業に必要な動作と円滑な遂行に関すること。

6. コミュニケーション
(1) コミュニケーションの基礎的能力に関すること。
(2) 言語の受容と表出に関すること。
(3) 言語の形成と活用に関すること。
(4) コミュニケーション手段の選択と活用に関すること。
(5) 状況に応じたコミュニケーションに関すること。

上記の内容のなかからそれぞれの生徒に必要とされる項目を選定し、それらを相互に関連付け、各生徒に合った個別の指導計画を作成し、教育を進めることになるという。

どうも項目だけ眺めていても無機質でさっぱりわからない…

一般的に、聴覚障害の場合は、保有する聴覚の活用、概念形成、言葉の習得、コミュニケーション、発音、視覚の活用等が自立活動の主な内容となっているようだが、子供の年齢、状態や教育方針によって注力すべき項目がかなり異なってくるように思う。

子供が小さいうちは(就学までの言語を覚えるのに最も適している時期)、言語を覚えることが重要になると思うので、それに関する項目がメインになるのだろうか。また、教育方針を口話中心にするか、手話中心にするか等によっても随分と関連する項目が異なってくるのだろう。なんだか、難しそうだ…

学校の先生達はこれをどれだけ活用しているのだろうか。

ちなみに、以前書いた、特別支援学校自立活動教諭の免許は、この科目を専門に教えるための免許になる。