ろう学校の先生と教員免許

大学時代、教員免許の取得を目指していた友人達は、教職過程を履修して、必要な単位を真面目に取ったり、教育実習に行ったりと、忙しく頑張っていた。当時の僕は、そんな彼らを横目で見ながら、ふわふわとした大学生活を送っていた。ところが、それからうん十年近く経ち、先天性難聴児の親となり、先天性難聴児への教育の重要性や難しさが少しずつわかってくるにつれ、今更ながら、教育についてもう少し勉強しておけば良かった…と感じてしまう。

ところで、特別支援学校の先生は、原則として、幼稚園、小学校、中学校、高校の先生の普通免許を持っているだけでは足りず、障害種別に応じた特別支援学校教諭免許が必要になる。ここでいう障害種別とは、聴覚障害、視覚障害、知的障害、肢体不自由及び病弱(身体虚弱を含む。)の5つを指す。だから、ろう学校の先生の場合は、聴覚障害を教育領域とする特別支援学校教諭免許が必要になる(原則として、ではあるが…

では、この特別支援学校教諭免許はどうすれば取得できるのだろうか?

方法は3つあるようだ。

①単位修得による方法

これは普通免許を取得するために必要な単位よりもたくさんの単位を取得して、大学等から認定を受ける方法である。大学時代に頑張らないといけない方法である。

②勤務経験と所定の講習等による単位修得による方法

3年以上の先生としての勤務経験に加えて、所定の講習等により必要な単位を取得する方法である。これは、先生になった後で、特別支援学校の教育に関心が出てきた、あるいは転勤等で特別支援学校に配属された先生向けだろうか。

③教員資格認定試験よる方法

これは、教職過程を履修していない人であっても、試験に合格すれば教員免許を取得できるというものだ。ただし、ここで取得できる教員免許は、特別支援学校自立活動教諭の免許という特殊なものらしい。自立活動という特別な科目を専門に教えるための教員免許なので、国語、算数、理科、社会、英語といった科目を教えることができる免許とは違うようだ。

この試験は、聴覚障害、視覚障害、言語障害及び肢体不自由の4つに分かれている。だから、ろう学校の先生になるのであれば、聴覚障害教育の試験に合格する必要がある。

ただ、この試験、相当マイナー試験なのか、ネット上にもほとんど体験情報がなく、どんなものなのかイメージがなかなかつかめない…

様々なバックグランドを持った人達に対して、特別支援教育の世界への門戸を開いているという意味で、良い制度だとは思うのだが。