人工内耳の3大メーカー

日本には3つのメーカーの人工内耳がある。ある時、「何が違うんですか?」 と聞いてみたところ、「基本的な性能は同じです」とのシンプルな回答が返ってきた。えっ、一緒? そんなはずは…というか情報が少ない。まぁ、悲しいかな、この手の展開には慣れてしまったが…

人工内耳の3大メーカーは、コクレア社、メドエル社、アドバンスト・バイオニクス社の3社で、日本のマーケットシェアもこの順番になる(本記事を書いている時点で。念のため。)。最も歴史の古いコクレア社が首位だ。

人工内耳の性能には様々な指標があり、どれもこれも専門的すぎて困る。インプラントに限定しても、電極の数やバーチャルチャンネル数、電極の長さ、コード化の方法(音声を電気信号に変換する方法)、電気刺激の頻度等、様々だ。3社それぞれに特徴や優位性があるようだ。

実際に3大メーカー全ての担当者から話を聞いたのだが、インプラントの性能については、雑音をなるべく抑えて言葉の聞き取りにフォーカスするか、ある程度の雑音も含めてより自然に近い音を聞くことにフォーカスするか、という2つの方向性があるように思った。

どちらかというとコクレア社は前者の言葉の聞き取りに、メドエル社、アドバンスト・バイオニクス社は後者の自然に近い音を聞くことに注力しているようだった。

メドエル社は、蝸牛の奥の方まで届くような、長く柔らかい電極を採用しており、コード化法も他2社とは異なる方法であるなど、自然な聞こえを実現させるための技術を多く採用している点が特徴のように感じた。

アドバンスト・バイオニクス社は、補聴器メーカーのフォナック社と同一企業グループであるため、人工内耳をフォナック社と共同開発しており、外側に装用するプロセッサの性能や補聴器との連携等に特徴があるように感じた。

とはいえ、いずれも基本的な性能は十分に備えていることを前提として、差別化のため、プラスαの特徴としてどういう方向性をもっているか、という意味での特徴だと思うので、やはり、基本的な性能は同じ、ということなのかもしれない。

その他、電池の種類とか、水への耐性、水に入る時のオプション、耳掛け以外の仕様、サイズ、カラー、アクセサリー等、様々な違いがある。

基本的な性能の違いは理解するのにハードルが高く、その他の違いも様々ある。それぞれの違いをきちんと理解するのは、相当に骨が折れそうだ。

ちなみに、病院によっても人工内耳の扱いは異なる。3つのメーカーの人工内耳全てを扱っているの選んで下さい、というところもあれば、扱っているのはこれだけです、と限定されている場合もある。

選ぶ余地がないというのも何だが、自由に選んで下さいというのも、それはそれで大変そうだ…

やはり、選ぶためには情報が必須だ。