手話の通訳 

英語やフランス語の通訳をする専門家がいるのと同様、手話にも通訳をする専門家がいる。その公的資格(国家資格ではない)が手話通訳士だ。難関試験といわれている。毎年1000人程度の人が受験しており、受験者数は比較的安定しているが(少ないとも思うが)、合格率にかなりバラつきがある。この5年だけを見ても、合格率2.1%という強烈な年から、20%程度の年まで幅が広い。これはこれで理由が気になる。

この試験は、手話の技術だけではなく、聴覚障害者への理解も求められている。実際に試験科目を見てみると、学科試験の項目に障害者福祉の基礎知識、聴覚障害者に関する基礎知識といった項目が含まれている。手話の通訳ができる、というだけでなく、聴覚障害者を取り巻く環境等についても理解していることが必要な試験のようだ。

手話通訳士はこのような専門資格であるが、手話通訳士でなければ手話の通訳ができないということではない。手話通訳士でなくとも、ボランティア等で手話通訳をしている人達はたくさんいる。名称が紛らわしいが、手話通訳をしている人達を総称して、手話通訳者と呼ぶようだ。「士」ではなく「者」だ。
※用語の使い方については、人によってまちまちで、正直、何が正確な使い方なのかよくわからなかった。そこで、おそらく最も一般的であろうと思われる用語の使い方で書いている。念のため。

自治体には、各自治体の手話通訳者を登録する制度がある。東京でいうと、東京都にも市区等にもそれぞれある。この登録のハードルが結構高いようだが、東京都の手話通訳者のハードルは特に高いらしい。登録のための試験に合格して晴れて登録となるのだが、受験資格の1つが、手話通訳士であること、となっている。東京都の登録手話通訳者になるためには、公的資格である手話通訳士に受かってないといけないようだ。

僕自身はこれまで手話通訳者を依頼したことがないが、自治体で所定の手続きをすれば無料で手話通訳者を派遣してくれるようだ(自治体によって違うかもしれないが…)。たしかに、難しい言葉が飛び交うような会話が必要な場合は、手話通訳者がいないと、ろう者とのコミュニケーションは難しいのかもしれない。ただ、個人的には、通常の会話については、手話通訳者がいなくても、不自由なくろう者と話せるレベルになりたいと思っている。というか、子供と手話で会話をするのであれば、そのレベルにならないとマズイか…まだまだ道は遠そうだが。