ろう学校の先生の約半数は専門の教員免許を持っていない?

文部科学省から「平成28年度特別支援学校教員の特別支援学校教諭等免許状保有状況等調査結果の概要」という資料が公表されている。タイトルの漢字が多すぎてうんざり…という感想もあるだろうが、この資料には、ろう学校の先生のうち、聴覚障害を専門とする教員免許を保有している先生の数が、全体の51%しかいないというデータが掲載されている。49%の先生は専門家ではないのか?専門家ではない先生がなぜ教えているのだろうか?このデータを見て直感的にそう思った。一体どういうことなのだろう?

幼稚園、小学校、中学校、高校の教員免許とは別に、特別支援学校教諭免許という専門の教員免許がある。この免許は、障害種別毎に、聴覚障害、視覚障害、知的障害、肢体不自及び病弱(身体虚弱を含む。)の5つに分かれている。このうち、聴覚障害を教育領域とする特別支援学校教諭免許を保有しているろう学校の先生が51%だった、ということになる。これは全国平均なので、都道府県によってもかなりのバラつきがある。また、国もこの状態を改善するような方向に舵を切っているようだ。とはいえ、51%だけである…

他の49%の先生はどういう先生なのだろうか?普通免許はあるが特別支援学校教諭免許を持っていない先生や特別支援学校教諭免許を持っているが専門とする領域が聴覚障害以外である先生のようだ

確かに、専門資格が全てではない。専門資格がある先生=聴覚障害者にとって良い先生とは限らない。手話でのコミュニケーションがメインの子供にとって、専門資格はないが手話ができる先生と、専門資格はあるが手話ができない先生がいたら、前者の先生が良いに決まっている。

とはいえ、専門の教員免許があるのに、実際に保有している先生が約半分というのは、制度設計としてどうなのだろう。どうしてこのような状態になっているのだろうか?

教員職員免許法という法律がある。この法律では、原則として、特別支援学校の先生は、特別支援学校教諭免許と普通の教員免許を持っていなければならない、と規定されている(同法3条3項)。しかし、附則には「当分の間」、普通免許を持っていれば、特別支援学校教諭免許がなくても良いと規定されている(同法附則16項)。

この附則は1949年9月1日施行なので、今(2017年時点で)から66年前に施行されている。「当分の間」であることに異論はないが、66年間例外を許容するというのはどうだろう。もはや、どっちが原則なんだかわからない…

これだけ長期間放置している理由って何なのだろう?

少なくとも、子供の目線に立った理由ではないだろう。