生後3ヶ月位で行われる精密検査とは?

新生児聴覚スクリーニングで「リファー」と判定された場合、一般的には生後3ヶ月位までに精密検査を行う。この精密検査で良く行われるのが、聴性脳幹反応検査(ABR検査)だ。これは、専門である耳鼻咽喉科で行われる。

特殊な音刺激によって脳内に起こる聴性脳幹反応とよばれる電気反応を検査する。通常、乳児が睡眠中に行う必要があるので、手間と時間がかかる。この検査で留意すべき点は、この検査で調べる対象となる周波数である。ABR検査は高めの音域、4000Hz近辺の聴覚を検査する。低音域の聴力についての検査結果ではないので、ABR検査の結果が悪いからといって音が聞こえないわけではない。

新生児聴覚スクリーニングで行われる検査の1つであるAABR検査は、このABR検査を使い易くしたもので、音刺激への電気反応を自動的に判定できるようにしたものなので、Automaticの”A”が付いている。

この検査で結果が芳しくない場合、より詳細な検査や療育の必要が生じる。

これがひとまずの確定診断なのだろう。僕自身の経験では、「これが確定診断です。」とはっきり言われたことはない。確かに、まだ生後3ヶ月程度である。この先良くなる可能性もないことはないだろうし、ABR検査だけでは低い周波数への反応がわからない。医者としても、不確定要素がたくさんある状態で、確定という言葉は使いたくないのかもしれない。

しかし、僕らにとっては、この診断がターニングポイントになる。これまでは、難聴のおそれがある、という判定を受けている状態にすぎなかったが、この診断の日以降、僕らは聴者の子供の親とは少し異なるルートを歩むことになる。

困惑している状態の中、早々に次に病院へ行く日取りを決め(場合によってはより専門的な環境が整っている病院に移り)、様々な検査を受け、補聴器装用へとスムーズに流れていく。次から次へと聞き慣れない横文字の検査を受け、我が子の芳しくない聴力を示す結果を宣告される。検査の特徴、数字の意味はいまいちわからない。ベルトコンベアに乗っているかのように、スムーズに別の領域に進んでいくような感じだった。

1-3-6ルールというものがあるらしい。

生後1ヶ月位までに新生児聴覚スクリーニングを行い、リファーとなった場合は生後3ヶ月位までに精密検査を受ける。その後、療育が必要な場合は、生後6ヶ月位までに療育を開始する。これが、先天性難聴児の良好な言語発達に良いとする考え方のようだ。

なるほど。そこに乗っていたのか…